本革バッグを押し入れ保管する時のカビ対策

本革バッグを押し入れ保管する時のカビ対策
数年前に押し入れに仕舞った本革バッグを取り出してみたらカビだらけになっていた!という経験をされた方は少なくないと思います。

なぜ本革バッグは押し入れに入れておくとカビが繁殖してしまうのでしょうか?

本日のブログではカビが生えてしまう原因を紹介すると同時に、押し入れでの長期収納で失敗しないカビ対策について詳しくご紹介していきます。

東京ヒマワリ 猪野

どうも、東京ヒマワリの猪野です。

本日は、カバン屋である私から、本革バッグを押し入れで保管する際のカビ対策についてご紹介させて頂きます。

本革バッグというと、「定期的にクリームを塗らなければならない」「水に絶対濡らしてはいけない」など、とにかく扱いが難しいという印象をお持ちの方もいるかもしれません。

しかし実際には、本革バッグはもっと気軽に使って頂ける道具です。仮にクリームを長年塗らなかったり雨に降られてしまっても、大きな問題が起こらない事の方が多いでしょう。

但し、唯一気をつけて頂きたいのが、今回ご紹介する「押し入れでの長期保管」です。

この点だけ知っておけば、本革バッグを長く綺麗に使う上での重要なポイントはかなり押さえられますので、ぜひチェックしてみて下さい。

結論:本革バッグの押し入れ長期保管は基本おすすめしません

本革バッグの押し入れ長期保管は基本おすすめしません

まず結論として、本革バッグを押し入れで長期保管する事は、基本的にやめましょう。

「使わないバッグを外に出しておくとホコリが溜まって悪そうだから、押し入れにしまっておきたい」と考える方もいるかもしれません。

しかし、バッグのコンディションだけを考えれば、押し入れにしまうよりも部屋に置いたままにしておく方が良いです。

なぜなら、本革バッグの押し入れ保管は、カビ発生のリスクがとても高いからです。

それでも何らかの理由で押し入れ保管をしたいという場合、ちょっとこれは一言でポイントをお伝えする事が難しいです。

まずは最初に「本革バッグの押し入れ保管はカビ発生のリスクが少なからずある」とだけ理解して頂いた上で、続きをご覧頂ければと思います。

押し入れ保管で本革バッグにカビが生えやすい理由

押し入れ保管で本革バッグにカビが生えやすい理由

カビというのは、カビ胞子が発芽して菌糸を伸ばす事で発生・繁殖します。

そしてこのカビ胞子というのは、基本的には空気中のどこにでも存在すると考えて良いです。

またカビ胞子は、適度な湿気・栄養・温度に加え、通気不足などの条件が揃った場合に発芽します。

条件が揃わないとカビ胞子は発芽しませんが、胞子の状態で長期間生存し、発芽出来るタイミングを待つ場合があります。

こういった仕組みを考えた場合に、押し入れに長期収納した本革製品というのは、どうしてもカビ発生の条件が揃いやすいんですよね。

衣服等も押し入れでカビが生える場合がありますが、本革製品ほどリスクは高くないと言えます。

なぜなら、衣服は繊維なので収納前にしっかりと水洗いをして皮脂汚れ等を除去する事が出来て、更には直射日光でしっかり乾燥させる事も可能だからです。

しかし本革バッグの場合は水洗いする事が出来ない事に加え、動物由来の有機素材であり、更には極度の乾燥は品質を劣化させてしまうという、カビ対策が難しい特徴が揃っているのです。

なので、〇〇をしておけば絶対に大丈夫!といった対策方法は無いと思って下さい。

カビ対策①「ブラッシングでホコリを落とす」

カビ対策①「ブラッシングでホコリを落とす」

それではここから押し入れ収納前に行って欲しい、基本的なカビ対策の方法について紹介していきます。

まず最初はブラッシングです。

既に付着しているカビ胞子を除去すると同時に、カビの栄養源となる汚れを除去する事が目的です。

ブラシは手のひらサイズの馬毛ブラシを用意しましょう。

ブラシを準備出来たら、革のシボやステッチ部分など、乾拭きだけでは取り除けない箇所の汚れを掻き出すイメージで、しっかりとブラッシングして下さい。

どれだけ丁寧に行っても、カビ胞子を完全に取り除く事は出来ませんが、大幅に絶対数を減らす事に大きな意味があります。カビ胞子や汚れが減るほどに、繁殖するまでの期間を延ばしたりすることが可能だからです。

ブラシの用意が出来ない場合は、念入りに乾拭きをして出来るだけ汚れを除去しましょう。

カビ対策②「バッグ内部のゴミや汚れを取り除く」

カビ対策②「バッグ内部のゴミや汚れを取り除く」

バッグ内部の清掃も忘れずに行いましょう。

食べ物の破片など、バッグ内部にはカビの栄養となる汚れが蓄積しやすいので、表面と同じくらい気合を入れて清掃しましょう。

表裏をひっくり返せるようなタイプであればひっくり返して、底角等の汚れが溜まりやすい所はブラッシングすると良いです。

ひっくり返せないタイプの場合は少し大変ですが、うまくブラシを使って汚れを掻き出したり、粘着クリーナーや掃除機など使える物を何でも使って掃除して下さい。

但し、汚れやカビ胞子を0にする必要はありません。

ひっくり返せないタイプのバッグを無理やりひっくり返して縫製を傷めたりしてしまっても意味がありません。

丁寧に作業をしながらも神経質になり過ぎない心構えが重要です。

カビ対策③「オイルアップ(保湿対策)」

カビ対策③「オイルアップ(保湿対策)」

これは直接的なカビ対策ではありませんが、レザーバッグを長期収納する際に必要な工程です。

革素材の乾燥による劣化を防ぐために保湿する事が目的となります。

皮革用のクリームを布に薄く塗り広げて、バッグ全体を優しく磨くように作業して下さい。

どのようなクリームを選ぶべきかは、どのような革を使用しているかによりますが、以下のクリームでしたら、ワニ革など特殊なものを除いて大抵の革にご使用頂けます。

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ここで注意すべき事は、絶対に塗りすぎない事です。

革は適度な油分や湿度が無いと品質が低下してしまう一方で、過剰な油分はカビの栄養源になり、湿気はカビが繁殖しやすい環境を作ってしまいます。

ここが、レザーバッグを押し入れ収納する上で最も難しい問題となります。

カビ対策④「乾拭きで余分な油分を拭き取る」

カビ対策④「乾拭きで余分な油分を拭き取る」

オイルアップ後はバッグ全体をしっかり乾拭きして、余分な油分を拭き取って下さい。

ステッチの隙間等に関しては乾拭きだけでは足りない場合があるので、ここでもう一度ブラッシング工程を挟むのもオススメです。

しかし、汚れ取り用のブラシで作業してしまうと、ブラシに付着した汚れがバッグに移ってしまう可能性がありますので、仕上げ用のブラシを別途用意するのが望ましいです。

仕上げ用のブラシは馬毛でも良いですが、毛が細くて柔らかい山羊毛ブラシを使用するのもオススメです。

山羊毛ブラシは汚れを強く掻き出す事には不向きですが、細かな所まで毛先が届く事に加えて、革表面の艶出しにも適しています。

カビ対策⑤「詰め物で型崩れを防ぐ」

カビ対策⑤「詰め物で型崩れを防ぐ」

バッグの清掃やメンテナンスが完了したら、詰め物をバッグに入れましょう。

バッグの型崩れを防ぎ、自然な形を保つことが主な目的です。詰め物によっては、多少の吸湿も期待できます。

詰め物は色々と候補がありますが、最も王道なのは紙製の緩衝材です。バッグメーカーも大半がこの緩衝材を詰め物として採用しています。

逆にオススメしないのは、エアキャップ(プチプチ)のような吸湿性の乏しいものです。

もっとスタイリッシュに収納したいという方は、バッグ用の保存クッション(バッグピロー)がオススメです。

紙の緩衝材は取り出すと散らかりやすいので、こういった専用クッションの方がスマートにレザーバッグを管理出来ると思います。

また、バッグを不織布等に包んでから押し入れに収納するのが尚良いですね。

ビニール袋のように密閉しにくく、ホコリを防ぎながら空気の通り道を残せるため、本革バッグの保管には向いています。

カビ対策⑥「乾燥剤・除湿剤で湿気を管理する」

カビ対策⑥「乾燥剤・除湿剤で湿気を管理する」

バッグの中に、シリカゲル等の乾燥剤を入れておくのも良い対策です。

バッグメーカーも大抵がシリカゲルを乾燥剤としてバッグ内に入れて納品しています。

一般的な使い捨てのタイプ以外にも、電子レンジで乾燥させて再利用出来るタイプもあるので、ニーズに合わせてお選び下さい。

但し注意点としては、革に直接当たるような形で入れないようにして下さい。

乾燥剤が革と密着した状態で長期間保管してしまうと、その部分だけが乾燥して色味が変わってしまう場合があるからです。

また、押し入れ全体の湿度を下げる為に、「水とりぞうさん」のような押し入れ用湿気取りを使用するのもオススメです。

本革製品に限らず、押し入れと言うのはカビが繁殖しやすい空間となりますので、湿気取りの使用がオススメです。

カビ対策⑦「定期的に取り出して点検する」

カビ対策⑦「定期的に取り出して点検する」

これだけ念入りに対策を行っても、カビる時はカビるのが本革製品です。

だからこそ、定期的に点検とメンテナンスを行う事がとても大事です。

カビは、革の表面で繁殖し始めたタイミングであれば、ブラッシング等によって除去する事が可能です。

だからこそ定期的に取り出して、ここまでご紹介したようなメンテナンスを定期的に行う事がとても有効です。

定期点検の目安としては、最もカビが発生しやすい6月~9月の前後に1回ずつがオススメです。

夏服と冬服の衣替えのタイミングで押し入れを開けた際に、革製品のメンテナンスも一緒にやってしまうのが良いと思います。

湿度が高くなる梅雨前に一度状態を整え、夏が終わった頃にもう一度確認する、という流れがおすすめです。

カビが発生しやすい時期の前後に点検することで、トラブルの予防と早期発見が可能となります。

素材毎の注意点「フルタンニン鞣し革」

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ボーデッサン(BEAU DESSIN) ウォッシュガーメント ワンショルダー ブラウン 44,000円(税込)

ここからは、同じレザーバッグでも素材毎に注意点が変わって参りますので、そちらについて少しお話しておこうと思います。

まずは、植物由来の成分だけで加工を行ったフルタンニン鞣し革についてです。

ヌメ革と呼ばれるタイプの革の他、ブライドルレザーやコードバンもこのタイプに属する場合が多いです。

フルタンニン鞣し革は豊かな経年変化が楽しめる魅力的な素材ですが、湿気を吸いやすいといった特性があります。

また、カビが発生した際にシミなどが残りやすい一面があります。

だからこそ、管理不足によるカビ発生の確率は高めとなりますので、ここまでご紹介した対策をより慎重に行う必要があると言えます。

フルタンニン鞣し革は基本的に高価な革製品となりますので、カビが発生してしまったり、少しでもシミになってしまった時の悲しみも大きいです。

やはり基本的には押し入れ収納しない事が一番の対策となりますが、押し入れに収納する場合は相応の覚悟をもって適切な対策を行うように心掛けましょう。

素材毎の注意点「クロム鞣し革」

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fetia(フェティア) ライロアシリーズ シュリンクレザー トートバッグ 縦型 ブラック 30,800円(税込)

世の中で革製品として製品化されている物の大半は、化学薬品で加工がされたクロム鞣し革が使用されております。

クロム鞣し革は経年変化が基本的に乏しい反面、カビも比較的発生し難い素材です。総じて革の品質や素材感が変わり難いという事です。

もちろん油断大敵ではありますが、ここまでご紹介したような対策を的確に行っていれば、カビのリスクは比較的抑えやすいでしょう。

また、薬品などによる質感の変化もし難い場合が多いので、押し入れ収納前に皮革製品用のカビ取りスプレー等を使用しても良いと思います。

もちろん、同じクロム鞣し革であっても特徴は異なりますので、スプレー等を使用する場合、まずは目立たない所で少し試してから使うようにしましょう。

もし部屋に使用していないレザーバッグがたくさんあるようでしたら、まずはこのクロム鞣し革のバッグだけを押し入れ収納してみる、そういった判断も有効かと思います。

素材毎の注意点「コンビ鞣し革」

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ファイブウッズ(FIVE WOODS) PLATEAU(プラトウ) レザー トートバッグ ブラウン 64,900円(税込)

タンニン鞣し革の経年変化と、クロム鞣し革の安定感を兼ね備えているのが、コンビ鞣し革です。

文字通り、タンニンとクロムを両方使って鞣した革の事です。

コンビ鞣し革というのは、タンニン寄りとクロム寄りの両方のパターンがあり、クロム寄りの場合は比較的カビが発生し難いのですが、タンニン寄りの場合はデリケートになってきます。

コンビ鞣し革も高価な製品が多いので、やはりフルタンニン鞣し革同様に慎重な扱いをしていた方が、後々の後悔は少ないと思います。

素材毎の注意点「スエード・ヌバック」

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kiruna(キルナ) スエード バックパック グレー 27,500円(税込)

革の表面や裏面を起毛させた革素材が、スエードやヌバックです。

こういった素材は表面積が広い分、湿気を含みやすい為、カビの繁殖リスクがとても高くなります。

スエードやヌバックは大抵がクロム鞣しですが、もしフルタンニン鞣しのスエード・ヌバック製品をお持ちでしたら、押し入れでの長期収納は極力しない方が身のためだと思います。

どれだけ事前対策を行っていてもリスクが高いので、絶対にカビ発生を避けるなら3~4ヵ月に1回は点検して欲しいです。

バッグならまだマシですが、スエードの革靴などは極めて危険です。

バッグに比べて靴は汚れや湿気をため込みやすく、カビの原因も蓄積しやすいからです。

数年間履いたスエードの革靴を、一切のメンテナンス無しに押し入れに1年以上収納なんてしたら、もはやカビのリスクというより、カビの栽培に近いです。

スエードやヌバックは魅力的な素材ですが、カビのリスクに関しては高いという事を念頭において扱いましょう。

それでもカビが生えてしまった場合の対処法

本革バッグにカビが生えてしまった場合の対処法

カビが生えてしまった場合は、まずはブラッシングをしてみましょう。

これで除去出来るような程度であれば大きな問題はありませんので、オイルアップや乾拭き等をしてコンディションを維持させましょう。

ブラッシングで除去出来ない場合は、革製品対応のクリーニング店に相談するのがベストですが、自分で何とかしたい場合は、皮革用のカビ取りスプレーを使ってみるのも手です。

但し、革の種類によっては色落ちや質感変化が起こる場合もあるため、必ず目立たない場所で試してから使用して下さい。

カビによるシミを目立たなくさせたい場合は、皮革用クリームで磨いて色味を馴染ませるというのも良いと思います。

顔料仕上げのクロム鞣し革であれば、補色剤の使用が有効な場合もあるでしょう。

フルタンニン鞣し革の場合は、サドルソープを使用して水洗いを行い、バッグ全体のトーンを調整するという手段もありますが、水を使用する為に品質変化は避けられず、それなりにリスクもある方法となります。

カビが原因のトラブルは、程度や革の種類等によって最善手が変わってくるので、一言で結論を言うのは難しいですね。

しかし革製品というのは、自分で色々試行錯誤してみるのも楽しみ方の一つですので、やってみたい方は色々試してみると良いでしょう。

以上、本革バッグを押し入れ保管する時のカビ対策でした

東京ヒマワリ 猪野

過去に別のブログで、本革バッグの押し入れ保管のカビ対策の話は長くなるので別の機会にと書きましたが、本当にめちゃくちゃ長くなりました(笑)

自分が話したかった事は概ねまとめる事が出来ましたが、カビが生えてしまった場合の対応策に関しては経験によるアドリブの世界なので、全てを語るのは難しいという判断になりました。

当店でご注文頂きましたお客様に関しては、素材の特性など正確な情報も手元にございますし、メーカーによる症状の確認に加え、補修も可能な場合があります。

なので、まずはカビが発生してしまった箇所の写真と、保管状況などお知らせ頂けましたら個別に対応させて頂きます。

という事で、長々と押し入れ保管時のカビ対策についてお話させて頂きましたが、面倒な人は是非、本革バッグは押し入れに収納せず、お部屋に飾って楽しみましょう!(笑)

本革バッグはカビるというイメージがあるかもしれませんが、普段から使用していたり、部屋の見える所に置いておけば基本的にそんな簡単にカビるものではありません。

そして何と言っても、お気に入りの本革バッグをお持ちなのであれば、部屋のオブジェという意味でも是非見える所に飾っておいて欲しいなと思います。

それではまた次回のブログでお会い致しましょう。

以上、おしまい!東京ヒマワリ トップページ

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