アルコール消毒できない本革バッグの正しいお手入れ方法

アルコール消毒できない本革バッグの正しいお手入れ方法
本革バッグは水洗いやアルコール消毒が基本的には出来ません。

そのため、身の回りの持ち物をできるだけ清潔に保ちたい方の中には、「洗えない本革バッグは衛生的に大丈夫なのだろうか」と不安に感じる方もいるかもしれません。

本革バッグは不衛生な道具なのでしょうか?

本日は、本革製品を扱うカバン屋の立場から、本革バッグと衛生管理の関係について、できるだけ分かりやすくお話ししていきます。

東京ヒマワリ 猪野

どうも、東京ヒマワリの猪野です。

日本人は元々綺麗好きだと言われておりますが、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、更に衛生意識が高まりました。

外出先ではアルコールスプレーの設置が当たり前となり、手回り品をアルコール除菌シート等で日常的に拭いたりする方も多いと思います。

そこで多く頂く質問が「本革製品はアルコール除菌を行って大丈夫ですか?」というお話です。

まず結論から言うと、本革製品のアルコール除菌は基本NGです。

本革製品をアルコール除菌シート等で拭いてしまうと、部分的な染みや色落ち等のリスクがあるからです。

これだけ聞くと、本革は衛生的に問題のある道具だと考えてしまう方も多いかと思いますが、結論から言うと、本革製品が原因となって細菌やウイルスに感染する可能性は高くないと考えられます。

という事で本日は、本革製品と衛生管理について、詳しくご紹介していこうと思います。

本革バッグの衛生管理で考えるべき5つのポイント

本革バッグの衛生管理で考えるべき5つのポイント

衛生管理と言っても、人体に危害を加える要素は色々あります。

この要素によって行う対策は全く変わってくるので、何を目的に衛生管理をするのかをはっきりさせる事がポイントです。

人体に危害を加える要素は以下の通りです

・細菌繁殖による病気感染

・ウイルス付着による病気感染

・カビの繁殖

・汗などによる匂いの発生

・汚れによる見た目の劣化

これらの項目毎に詳しくご紹介していきます。

本革バッグと細菌繁殖による病気感染について

本革バッグと細菌繁殖による病気感染について

細菌が原因となる健康トラブルの中で、日常生活において特にイメージしやすいものが食中毒です。

たとえば、手などを介して細菌が食品に移り、食品の中で細菌が増殖して、最終的にその食品を食べてしまうと食中毒につながるリスクがあります。

人間の肌にも常在菌は存在しておりますが、そうした菌であっても食品に移って条件が揃えば増殖する可能性があります。

但し、人間の肌に細菌がいるからといって、肌に触れたり、仮に舐めたりしただけで食中毒のような症状が起こることは通常ほとんどありません。

問題となるのは、菌が「いること」そのものではなく、食品のように栄養や水分が豊富な場所で、時間の経過と共に細菌が増殖してしまう事です。

この点を本革バッグに当てはめると、検討すべきなのは「バッグのハンドルなどで細菌が増殖し、それを手を介して体内に取り込んでしまう可能性があるか」という点になります。

しかし、通常の使用環境において、本革バッグのハンドルはそれほど細菌が繁殖しやすい環境ではありません。

細菌が増えやすいのは、栄養、水分、温度、そして湿気がこもりやすい環境が揃った場合です。

たとえば革靴の内側は、一日中履き続けることで汗や湿気を含みやすく、密閉された状態になりやすいため、食品ほどではないにせよ細菌が増えやすい環境だと言えるでしょう。

一方で本革バッグのハンドルは、一日中握り続けているわけではありません。外気に触れている時間が長く、湿気がこもり続ける環境でもありませんので、日常的に使用している本革バッグで細菌が繁殖する可能性は高くないと考えられます。

もちろん、バッグを持った手でそのまま食品に触れることには一定のリスクがあります。しかし、それは本革バッグに限った話ではありません。

パソコンのキーボードやマウス、スマートフォン、電車のつり革、現金など、日常的に手で触れるものの多くには何らかの細菌が付着している可能性がありますし、そもそも人間の肌にも常在菌が存在している時点で、素手で食品に触れるという行為には常にリスクがあると言えます。

そのため、細菌を恐れて本革バッグを無理にアルコール除菌することよりも、食品を扱う前や食事の前に手を洗うことの方が、衛生管理としてははるかに現実的で有効です。

本革バッグとウイルス付着による病気感染について

本革バッグとウイルス付着による病気感染について

ウイルスが原因となる健康トラブルに関しては、ウイルスを体内に取り入れてしまう事そのものが問題です。

ウイルスは細菌と違って体外では繁殖しませんが、少量でも感染の危険性があるウイルスもありますので、ウイルスが付着したものを触った手で口・鼻・目などの粘膜に触れるだけでもリスクがあります。

また、こういったウイルスの代表格であるノロウイルスに関しては、アルコール消毒でも完全には不活化しない場合がある為、仮にナイロン製のバッグを毎日アルコール消毒して使っていたとしても完璧とは言えません。

ウイルスが付着している可能性を考えだしたら、基本的に手で触れる全ての物にリスクがあると言えます。

ドアノブやボタンなど外出先で触れるあらゆるものはもちろん、それらを触れた手で触ったスマホや衣服、そしてそれが自宅内に持ち込まれれば、部屋にある物ですら危険性があると言えます。

そういった事情を踏まえた上での結論としては、本革バッグに付着したウイルスが体内に取り込まれてしまう可能性はあるものの、それは衣服など全ての物に共通して起こり得る事なので、本革バッグだけが特別に危険性が高いという事は無いと言えます。

ウイルスに関しても細菌と同様に、手洗いが最大の予防手段と言えるでしょう。

ノロウイルスはアルコールが効きにくいウイルスとされていますが、石けんと流水による手洗いで、手に付着したウイルスを物理的に洗い流すことができます。

家に帰ってきたらまずは手を洗う事はもちろん、更にリスクを減らすならば真っ先にシャワーを浴びて清潔な部屋着に着替えるのが良いでしょう。

また、スマホやノートPCのように、外出先でも部屋でも頻繁に触れる道具に関しては、家に帰ってきたらアルコールティッシュ等で拭くという習慣は有効だと思いますが、バッグ等のように家の中で基本的には触れない道具に関しては、そこまで慎重にならなくて良いと考えられます。

ちなみに、コロナウイルスやインフルエンザウイルスについては、主な感染経路は感染者が吐き出す飛沫や空気中の微粒子であり、物の表面を介した感染は主経路ではないと考えられます。

本革バッグとカビの繁殖について

本革バッグとカビの繁殖について

本革は明確に、カビが生えやすい素材だと言えます。よって、本革バッグの衛生管理に関しては、カビの繁殖が最も注意すべき項目となります。

カビの胞子はアレルギー反応を起こす事があり、特に免疫低下がある方は注意が必要です。そして何と言ってもカビが生えたバッグは見た目が極めて良くないですよね。

また、一度カビが生えてしまうと完全に元に戻せなくなってしまう場合も多いのが注意したいポイントです。

但し、日常使用しているバッグに関しては、最低限の管理をしておけばカビが生えてしまう事は稀だと思います。

カビが繁殖する為には長期間の安定した湿度が必要ですが、日常使用しているバッグに関しては頻繁に外気にさらされる為、カビが繁殖し難い条件が自然と揃ってしまうからです。

日常使用しているバッグに関しては、月に1度でも良いので思いついた時にブラッシングをして汚れを除去しておくと良いでしょう。ブラシが無い方は乾拭きをしておくだけでもカビのリスクを大幅に下げる事が出来ます。

最も危険なのは、押し入れ等で長期間保管する場合です。

本革製品を押し入れで長期保管するというのは、カビにとってはまさにパラダイス!数年使用した本革バッグを、何の対策も無く3年ほど押し入れに収納しっぱなしにした場合は、カビが生えても致し方ないと思います。

長期保管におけるカビ対策の話は長くなってしまうので、これは今後また別のブログで詳しくご紹介させて頂きます。

本革バッグと汗などによる匂いの発生について

本革バッグと汗などによる匂いの発生について

日常使用するもので臭くなりやすい物と言えば枕やバスタオル等ですが、これらに共通して言える事がいくつかあります。

1つ目が、素材が繊維である事です。繊維は汗や汚れを吸収し易い特徴があります。

2つ目が、肌の広い面積が直接触れる道具である事です。基本的には汗を吸う事を目的とした道具だという事ですね。

3つ目が、洗う頻度が少ない事です。バスタオルも毎回洗っている人であれば匂いトラブルは少ないでしょう。

汗や汚れを大量に吸収した繊維製品を長期間洗わずに使用を続けてしまうと、細菌が汚れを分解して匂いを発生させてしまうという事です。

一方で本革バッグはというと、繊維製品ほど汗を吸い難く、汚れも生地の奥までは浸透し難い道具なので、基本的には匂いのトラブルは起き難い道具だと言えます。

とは言え、汚れを蓄積して良い事はありませんので、前述したようなブラッシングや乾拭きを定期的に行う他、使用していない時は風通しの良い場所で保管をしておく、これだけ守っておけば大きなトラブルが発生する事はほとんど無いと思います。

本革バッグと汚れによる見た目の劣化について

本革バッグと汚れによる見た目の劣化について

白シャツ等の場合は、頻繁に洗わないと首元などが黄ばんで見た目が悪くなってしまいますよね?これは繊維が汗を吸収し易い事に加えて、その皮脂やタンパク質汚れが酸化する事によって起こります。

しかし本革の場合は繊維ほど汗を吸収し難い事に加えて、こういった汚れが味わいとして昇華し易い所も長所となります。

本革の場合は皮脂や汚れが酸化しても色味が濃くなるだけなので、白シャツの黄ばみのようなネガティブな変化は起こり難いです。

その他、布製品だと汚れや傷みとして感じられる多くのダメージが、本革バッグの場合は「経年変化」という括りに収まりやすいのが良い所です。

とは言え、行き過ぎた経年変化は「経年劣化」になってしまいますので、定期的にブラッシングや乾拭き等は行うべきだと言えるでしょう。

本革バッグはクリーニング店に持ち込める?

本革バッグはクリーニング店に持ち込める?

ここまでご紹介した通り、本革バッグは基本的には水洗いやアルコール消毒は不要な道具です。

しかし、バッグの中に食べ物や飲み物をこぼしてしまったとか、特殊なトラブルが発生してしまった場合はクリーニング店に相談しましょう。

お店にもよりますが、本革バッグのクリーニングを受け付けているお店は多いので、ホームページ等をチェックしてみると良いでしょう。

以上、本革製品と衛生管理に関するお話でした

東京ヒマワリ 猪野

ここまでご紹介した通り、本革製品は水洗いやアルコール消毒は基本的に出来ませんが、だからといって衛生的に問題のある道具ではありません。

繊維製品では発生し易いトラブルも、本革製品では起こり難いものが多く、だからこそ毎日洗ったりせずとも品質を維持し易い道具なのです。

細菌やウイルスに関しても、本革バッグの「洗えない&消毒出来ない」と言った特性が問題になるケースは稀で、日常的に手を洗う事が最大の予防策となります。

とはいえ、前述した通り「カビ」に関しては注意して取り扱う必要があると言えます。これに関してはまた別の機会で詳しくご紹介をさせて頂きますね。

それではまた次回のブログでお会い致しましょう。

以上、おしまい!東京ヒマワリ トップページ

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