最終更新日:2019年09月05日

野黒ネクタイ工芸株式会社、取材記録(前編)

当店が取り扱うネクタイブランド「フランコスパダ」も多く手掛けている、ネクタイ専門の裁断・縫製屋さん「野黒ネクタイ工芸株式会社」の取材をして参りました!美しく縫製されたフランコスパダの生産現場の様子を是非チェックしてみて下さい!

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どうも、東ヒマのメガネっ子担当、猪野です。

京都の工場見学日記、今回は最終章です!前々回の記事では絹糸を染める染色屋を、前回の記事では染め上げた絹糸を織る機屋をご紹介させて頂きましたが、今回は最終仕上げとなる裁断・縫製屋をご紹介させて頂きたいと思います。

取材にご協力頂きましたのが、フランコスパダのネクタイも数多く手掛けております、西陣のネクタイ専門の裁断・縫製屋、「野黒ネクタイ工芸株式会社」です。

昭和初期から営業を始め、親子代々三代続く老舗メーカーでございます。

染色屋や機屋の作業現場というのは、様々な機械やシステムが導入されていて工業化が進んでいる印象でしたが、今回の裁断・縫製屋はまさに職人芸という感じで、その技術の高さに驚かされました!

それではさっそく本編に参りましょう!

一反の絹織物が、ネクタイになる一連の作業工程を紹介します

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なんと今回、野黒様のご厚意により、1枚の絹織物がネクタイとして製品化していく一連の流れを実演して頂きました!染色屋さんの時にも申し上げましたが、本当に皆様大変フレンドリーで、忙しい中で僕たちの為に様々な準備をして頂き、本当に感謝しかありません!!

こちらの一反の絹織物が、一体どんな過程を経てネクタイになっていくのでしょうか?その具体的な作業内容をジックリと見ていきましょう!

作業工程1、裁断

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型紙を使用しながら生地を裁断していきます。

太さや長さなど、オーダーに合わせて様々な型紙を使用し、電動カッターでカットしていきます。

ここでのクオリティーが、後の縫製作業のクオリティーにも大きく関わってきますので、非常に重要な作業です。

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全てのパーツがカット出来ました。

ネクタイの裏側にある小剣通し(ループ)などの細かいパーツの生地も全て用意出来ましたので、次は縫製作業に移ります。

作業工程2、縫製(1段階目)

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メイン部分の縫製作業です。先程の写真の通り、メイン部分は3つのパーツに分かれており、それを縫い合わせる事で長いネクタイになります。

作業工程3、剣先の縫製

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次は剣先の縫製です。立体的な構造なので、特に難しい作業となります。

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部分的に手縫いが必要な作業となります。

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それからミシンを使用して仕上げをしていきます。

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とても綺麗な剣先が出来上がりました!ネクタイは少しでも形が歪になったり、ステッチが荒れると非常に格好の悪いものになりますので、とても精度の高い縫製作業が求められます。

ものの数分で簡単に縫い上げてしまいましたが、それもそのはず、今回縫製を担当して頂いた職人さんは、この道60年の大ベテランだそうです!!

世の中には色々な高級ブランドがございますが、それらのクオリティーを支えているのは、こういった凄腕の職人さん達なのです。

作業工程4、アイロンがけ

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業務用の蒸気アイロンで形を整えていきます。1本1本丁寧にアイロンをかけていきます。

作業工程5、縫製(2段階目)

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次の段階の縫製に移る為、芯材を入れ、形を整えて「まち針」を打ちます。ネクタイを作る上で、特にここの作業は重要だそうで、ほんの数ミリのサジ加減で歪なネクタイになってしまいますので注意が必要です。

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綺麗にまち針が打たれました!この、まち針が打たれた箇所を手縫いで縫い付けていきます。

このようにネクタイの裏側は、ミシンで縫い付けるのではなく、間隔を空けて手で縫っていくのです。そうする事で生地にゆるやかなドレープが生まれ、上品で高級感のあるネクタイに仕上がります。

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マチ針を打った部分を縫い付けていきます。特別な道具を使うことなく、針と糸だけで綺麗に縫製がされていきます。

グルグルと何重にも縫い付けられ、がっちりと頑丈に縫製されました。

作業工程6、アイロンがけ(仕上げ)

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縫い終わったら再びアイロンで形を整えていきます。

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小剣通しもアイロンで形を整えます。

という事で、ちょっと長くなってしまったので前半はここまでにしようと思います!

ネクタイは立体的な構造も相まって、職人の技術に頼る手縫いなどの工程も多く、実はとても手間の掛かる製品なんだなと学びました。

しかし、1枚の絹織物が、段々とネクタイらしい形になってきましたね!引き続き後半をお楽しみください!

つづく

野黒ネクタイ工芸株式会社、取材記録(後編)

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